いつぞやのGPTでゴブリンの熟練扇動者とRed Elemental Blastのために赤をタッチしたデスタクがいたことを思い出したので。というか、前回稲妻について述べたくせにREBのことを忘れていた。


・ラブルマスターについて。

 最初にハッキリ言うが、このカードは少なくともデスタクにおいていわゆる「タダ強」カードではない。あくまで限定的な場面でしか仕事が出来ない、むしろその仕事の範囲が月の大魔術師より狭い微妙なカードだ。

 その原因はこのカードの欠点、すなわち除去耐性も突破力もないという部分に起因する。タフネス2、プロテクションはなく、飛行やトランプルもない。環境に蔓延するあらゆる除去で屠られ、タルモゴイフや殴打頭蓋を前にあっさり足踏みしてしまう。後者の場合は尚悪いことに、トークンに強制アタックが付与されるせいで相手のライフが勝手に増えていく。どうしろと。

 では何故このカードは強いとされているのか。それは、デッキ構築、或いはコンセプトがその強さを肯定するからだ。スタンダードではともすればトークンの一点クロックすら受けたくないという状況に追いこめる赤単が、レガシーには大量の除去とハンデスでリソースを根絶やしにするジャンドがいる。特に自分はジャンドにおけるこのカードを高く評価しており、コラガンの命令というアンチ石鍛冶を得た今、このデッキが環境最強のフェアデッキなのではないかと思っている。問題は、「フェアデッキに強いフェアデッキ」であって「コンボデッキに強いフェアデッキ」と言えないところなのだが。

 勿論、デスタクでもサリアや月の大魔術師、不毛の大地で縛りあげたところでこのカードを叩きつければリカバリーの暇もなく速やかにゲームを終わらせてくれる。しかし、逆説的にそういう場面でなければ弱い 。除去が、タルモゴイフが、僧院の導師が、立ちふさがったその時、このゴブリンの強さは簡単に否定されるのだ。デスタクは、それらをあっさり封じ込めてしまえる強烈な速さやロックする術を持ち合わせていない。 そうだ、ドラゴンストンピィで使おう(小並感

 よって、デスタクにこのカードは必要ない。嘘だけど。

 要するに、デスタクがこのカードのパワーを最大限に引き出せばいいのだ。そして、そのために必要なのは除去を増やそうとかそういう構築段階の話ではない。使う相手を選ぶ、ただそれだけいい。

 コンボと奇跡。デスタクがこのカードを上手く使える相手は、結局のところこの二つに絞られる。

 コンボを相手にする際にデスタクの一番多い負け方は、実の所ヘイトベアを始めとする対策カードを引けずに即死……ではない。特にANTやオムニテルを相手にしている際に顕著なのが、対策カードが着地はしたもののクロックの低さが災いして対策カードを処理するための時間を与えてしまうパターンだ。下手にクロックを上げるためにヘイトベアを漠然と並べると全体火力で一掃され、それを恐れてクリーチャーを並べないでいると濃密な手札から強引に突破される。この辺りの加減は本当に難しく、また、最善手を打っても結局実らないことも少なくない。

 しかし、ヘイトベア→ラブルマスターという動きはそういった問題を一気に解決する。単純計算でこの動きはほぼ3ターンクロックで、それ以上クリーチャーを展開する必要はないから全体除去の警戒やリシャーダの港のためにマナを残すことができる。テンポの悪い装備品よりよっぽど簡単で、裏目も少ない。

 対奇跡においても、単体で終末を使わせるだけのインパクトがあり、トークンが速攻を持つためジェイスにも強い。ソープロや瞬唱に弱いという欠点はあるにしても、有効なカードであることに代わりは無い。

 以上の点から、自分はゴブリンの熟練扇動者をメタ次第で採用に足るアンチカードとして評価したい。対コンボ及び奇跡が多いなら、ヘイトベアと一緒に使うだけの価値はある。逆にクリーチャー戦を得意とするフェアデッキが多いなら、大人しく他のカードを採用する方が無難である。



・REBや紅蓮破について

 SCGのリストでは不採用だった。リストを見る限り、その最大の理由は「枠が無い」ことだと思われる。特に帝国の徴募兵によるヘイトベアのサーチをギミックとして仕込んでいるため、サイドボードにも追加のヘイトベアが計六枚投入されている。さらに唐突なる死という一部のデッキにクリティカルなカードや安らかな眠りといった実質的な固定枠を含めると空きはないと言っていい。サーチ出来ず、サリアで重くなり、例えサイドインするデッキを相手にしても腐る場面が少なくないインスタントのために割く枠がないのだろう。

 環境を見渡す限り、REBまたは紅蓮破で対象に取る機会が多いカードはデルバー、神ジェイス、時を超えた探索、実物提示教育の四つ。デルバーを意識するなら流刑への道や稲妻があり、神ジェイスは破棄者で止められるのでわざわざREBを採用する理由にはなりえない。よって、焦点は後者の二つに絞られる。

 しかし、カウンターするためには事前にマナを立たせておきながら尚且つ手札に握っている必要がある。キャントリップも無く、後引きも出来る事ならしたくないとなるとさすがに我が儘だ。つまるところ、このデッキには合わない、ということになる。

 これだけ見るとジャンドにおいても同じことが言えるようにみえるが、ジャンドではREBないし紅蓮破がサイドに数枚用意されていることが少なくない。その理由は、これらがジャンドの「リソースを根絶やしにする」プランの助けになるからだ。ハンデスを通す助けとしてREBは軽いこともあって優秀で、ハンデスに合わせた渦まく知識やカウンターを弾く能動的な使い方や、主な妨害がハンデスであるが故に起こる「トップから有効牌を引かれて負ける」パターンもケアすることも出来る。後引きをある程度許容できるのも大きい。特に最近はデッキトップから時を超えた探索であっという間にコンボパーツを掻き集められてしまうため、それを妨害するためにも必要になってくる。


 まぁそれでも、「自分以外青しかいねぇ!」なんていうのなら採用するべきだとは思う。SCGのような規模の大きい大会では、裏目に出ることの方が多そうだが。




以上。次はモダンかEDHのことになる予定。

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