デスタク近況

2015年12月8日 Death&Tax
 エタフェスに出れるかどうか微妙な上にPauperが楽しくてあんまり触ってないデスタクの話。




◎最近のメタゲーム


 環境の大本命は前回の禁止改定直後から変わらず奇跡コントロール。直近のSCGではアドバンテージ稼ぎに優れる中速ビートダウンであるBUG続唱が活躍し、奇跡に対する意識の高さがはっきりした。


 一方で優勝したカナスレは稲妻以外の火力をChain Lightningに統一し、マナ縛りからの速やかなビートダウン、というシンプル極まりない戦略に特化している。もみ消しによるマナ縛りは比較的カードパワーに優れるグリクシスデルバーでも増えていることも鑑みると、環境に中速以下のデッキが増えていることが分かる。現状のメタゲームは奇跡VSアンチ奇跡VSアンチ中速以下のもみ消しデッキ&その他、といったところだろうか。


 コンボデッキは減っているように感じられる。奇跡の増加がやはり逆風下。とはいえスニークショーやANTはガードが下がった環境で勝ちきれるだけの地力があるので、ふとした瞬間に勝ち上がる可能性はある。モダン環境の親和みたいに。


 あと、ここに来て勢力を伸ばしているのが土地単を始めとする罰する火エンジンを搭載したデッキ。最多勢力であるデルバーを始めとするクリーチャーデッキを封殺し、奇跡に対しても罰する火やヴェールのリリアナで粘り強く勝ちに行けるため、コンボの減少に伴って増加している。出来れば意識しておきたい。




◎デスタクで戦うには



・対奇跡を意識する。ぶっちゃけ不利なマッチアップだがここを乗り越えなければ話にならない。GP京都以前からしばらくは白昇天という隠し技(?)で勝ちを拾うこともあったが、最近はメインに導師を投入した形も増えて来たのでこれは厳しい。サイドからPWを投入してクリーチャーとの二正面戦略で立ち向かう真っ当な戦略が最善か。



・数を増やしているBUG続唱に対しては土地縛りが出来ないままゲームが長引いたら負けなので、序盤にどこまで相手の行動を妨害することが出来るかが問題。多いと感じたらミラディンの十字軍を増やすのが一番簡単。メインのクロックであるタルモゴイフを無力化する墓地対策は有効だが、土地単などの罰する火デッキの台頭を鑑みると大始祖の遺産より安らかな眠りを優先。



・対コンボに関しては特別意識しない。対スニークショーは元々有利で、不利なエルフは絶対数が少ない。リアニメイトも安らかな眠りの増量でケアできる。法学者だけは二枚ほど用意するが、精神壊しの罠や審判官の使い魔といった極端なカードは採用しない。




◎以上を踏まえて


 青をタッチしてみることにしました。(テキトー)



23 Lands

2 Plains
1 Island
4 Tundra
4 Flooded Strand
1 Arid Mesa
2 Karakas
1 Cavern of Souls
4 Wasteland
4 Rishadan Port


22 Creature

4 Mother of Rune
4 Thalia,Guardian of Thraben
4 Stoneforge Mystic
3 Phyrexian Revoker
4 True-Name Nemesis
2 Vendilion Clique
1 Venser, Shaper Savant

15 Spells

4 Swords to Plowshares
4 AEther Vial
4 Brainstorm
1 Umezawa’s Jitte
1 Sword of Fire and Ice
1 Batterskull


15 Sideboard

3 Rest in Peace
2 Ethersworn Canonist
2 Cataclysm
2 Meddling Mage
1 Seal of Cleansing
1 Gideon,Ally of Zendikar
1 Elspeth,Knight-Errant
1 Council’s Judgement
1 Sunlance
1 Pithing Needle



 参考にしたのは勿論「のぶおの部屋」で掲載された青デスタク。メインは殆どそのままで、サイドボードだけ好みで大幅に入れ替え。

 真の名の宿敵は単体除去で対処されないので奇跡相手に「ソープロでクロックが止まるのが嫌だから二体目を出したら終末で処理されてジリ貧」といったパターンが減り、三人衆やヴェンセールはシンプルなコントロール殺しなので戦いやすくなる。懸念材料は対デルバー戦、というかもみ消し。五枚目のフェッチはいらないかも。


 PWを散らしたのはギデオンを8/8飛行にして殴ったら精神的に勝ちだからまだどちらを優先するか決めきれていないから。細かいサイドボーディングまでは決めきってないので、これから色々と試していく予定。




 最近忙しくてあんまりカードに触れてないけど、暇を見て少しずつデスタクを弄っている。最大の問題はフリプする時間もないこと。


Main 60

Lands 23

5 Plains
4 Wasteland
4 Rishadan Port
2 Platue
4 Arid Mesa
1 Flooded Strand
2 Karakas
1 Cavern of Souls


Creatures 26

4 Mother of Rune
4 Stoneforge Mystic
4 Thalia,Guardian of Thraben
3 Phyrexian Revoker
4 Frickerwisp
2 Mirran Crusader
2 Imperial Recruiter
2 Magus of the Moon
1 Vryn Wingmare

Spells 11

4 Swords to Plowshares
4 AEther Vial
1 Umezawa`s Jitte
1 Sword of Fire and Ice
1 Batterskull



15 Sideboard

3 Rest in Peace
2 Gilt-Leaf Liege
2 Ethersworn Canonist
2 Cataclysm
1 Gideon, Ally of Zendikar
1 Outpost Siege
1 Seal of Cleansing
1 Sudden Demise
1 Council’s Judgement
1 Goblin Rabblemaster



 メインボードはSCGで入賞していたリストとほぼ同じ。ただ、奇跡が増えている現状は多色(たまに無色)デッキに対するメイガスの強さより、単体の打撃力が高く、同様に増えているBG系への解答となるミラディンの十字軍の強さを評価しているため一枚だけ差し替えている。


 サイドボードは完全に脳内で思いついたものを形にしたものなので、とりあえず採用した理由を個別に。


・Rest in Peace

 とにかくサイドインする機会が多い墓地対策。置物という性質上破壊されることも多く、重ね貼りも相応に意味があるので三枚に。


・Gilt-Leaf Liege

 対BG系、主にヒムやヴェリアナ、マイナス修正系除去に対する解答。採用の是非は個人の好みによるところも多いが、BG系戦における主な負け筋に不完全ながらも対抗できるので採用。白単の時より素出しは厳しいが、とりあえず抱えておけばヴェリアナが勝手に呼び出してくれることが多い。


・Ethersworn Canonist

 ストーム系コンボ対策。テンポデッキ相手にも強くはあるが、URデルバーがほぼ消えてテンポデッキ=3色以上となっている以上、月の大魔術師で十分だろう。


・Cataclysm

 4マナのダブルシンボルという重さが徒になってたまにキャストする機会を逃す全体除去。アルマゲドンと違って不利な盤面を五分以上にひっくり返せるのが魅力的。


・Gideon,Ally of Zendikar

 遍歴の騎士、エルズぺスとの競合になるが、トークンがBG系の死儀礼を突破できること、トークンを並べながら打撃力を維持できることからこちらを採用。忠誠度が増えにくいので火力に弱いのが難点。


・Outpost Sage

 アドバンテージ源。神ジェイスほど圧力をかけられるわけではないが、着地後の処理されにくさは随一。相手のライフが残り数点なら龍モードで王手をかけることも。極々稀にちらつき鬼火×2をループさせて勝ったりする。


・Seal of Cleansing

 普通は解呪の枠。教示者が入っているわけでもないのにこっちを採用しているのはBG系を気にしているから。夜の戦慄や無のロッドといった対策カードはハンデスの後に着地することが多いため、解呪を抱えていると捨てさせられてしまう。その点こちらは先置きが可能で、行動の自由を確保しやすい。まぁ、一長一短だけど。


・Sudden Demise

 奇跡の流行によってこれが必要になるマッチアップは少なくなったが、同系対決はそれなりに発生するのでお守り代わりに。グリクシスのヤンパイ対策でもある。


・Council’s Judgement

 万能除去。それ以上でもそれ以下でもないけどやっぱり便利。


・Goblin Rabblemastar

 お試し枠。奇跡相手に単体で脅威になり、コンボ戦で速やかにでライフを詰め切れる打点の高さが魅力的。難点は突破力と除去耐性が皆無なため、フェアデッキ相手には並べ合いの後に除去されること。強い場面が限られる上、ジャンドほど強い場面を能動的に生み出せないのでメインには入れにくい。




 何気なくアクセス解析を見たら「レガシー デスタク 立ち位置」なるワードを発見したので、調整中のリストを晒しつつ思ったことを書き連ねてみる。



 とりあえず現状のリスト。


Main 60

Lands 24

6 Plains
1 Mountain
4 Wasteland
4 Rishadan Port
2 Platue
4 Arid Mesa
2 Karakas
1 Cavern of Souls


Creatures 25

4 Mother of Rune
4 Stoneforge Mystic
4 Thalia,Guardian of Thraben
2 Phyrexian Revoker
3 Frickerwisp
3 Mirran Crusader
2 Imperial Recruiter
2 Magus of the Moon
1 Pia and Kiran Nalaar


Spells 11

4 Swords to Plowshares
4 AEther Vial
1 Umezawa`s Jitte
1 Sword of Fire and Ice
1 Batterskull



Sideboard

3 Red Elemental Blast
2 Rest in Peace
2 Gilt-Leaf Liege
2 Ethersworn Canonist
1 Cataclysm
1 Gideon, Ally of Zendikar
1 Outpost Siege
1 Phyrexian Revoker
1 Leonin Relic-Warder
1 Council’s Judgement




◎土地24枚

 デスタクの土地枚数は23枚が一般的だ。ドロー操作が無く、ある程度土地を並べる必要があるのでレガシー環境のデッキにしては多い。フラッドをケアするために地平線の梢を1~2枚採用するのが通例で、緑が出ることを利用して仕組まれた爆薬やガドック・ティーグの採用に踏み切るリストも稀に見られる。

 時折22枚のリストも散見されるが、その場合は雨ざらしの旅人の採用や3マナ域の枚数を抑えることが多いため、デッキパワーそのものは下がっていることもある。フラッドしにくいこととスクリューしやすいことはある意味同義なので一概にどちらが、とは判断し難い。ただ多少のフラッドはリシャポや装備品のための必要経費でもあるため、フラッドをケアするなら土地を減らすより地平線の梢を増やすことをおススメする。赤いデッキが多い場合はその限りではないが。

 翻って土地24枚というのはハッキリ言って多い。しかも地平線の梢も採用していないとなると、フラッドが原因で負ける機会が多くなることは想像に難くない。しかし、2色にしたことで不毛の大地に弱くなったことやBG系の増加によって徴募兵のサーチ先をハンデスで叩き落されることを考えると土地23枚は不安な面もある。もうしばらくゲームをこなし、やはり多いと感じた場合は地平線の梢を採用するか、或いは減らした部分に雨ざらしの旅人あたりを採用して改めて調整する予定。



◎クリーチャー選択について

・Phyrexian Revoker

 法学者をメインに採用する理由が薄くなったので無事メインに復帰。しかしBG系にはつよわいカードであり、カナスレも増えるので二枚に抑えた。サイドの三枚目はANTやスニークショーなどのコンボ対策。


・ミラディンの十字軍

 BG絶対殺すマン。純正URやグリクシスの数が減っているので実に頼もしい存在だが、Jundが増えると罰する火に対する弱さがメインの勝率に響いてくる。罰する火を要するデッキが増えたら外科的摘出や避難所の印をサイドに用意する必要がある。


・Frickerwisp

 薬瓶から出てきてウザがられるカードNo1と名高いエレメンタル。BG系には弱いので採用しないという選択肢もあるが、このデッキは石鍛冶だけでなく徴募兵もあるので続投中。


・Pia and Kiran Nalaar

 お試し枠だが、ヴェリアナが増えたので引き続きピン刺しで様子見。余った薬瓶を投げつけることはない癖にKarakasや鬼火でトークンを増殖させることは多々ある。っていうかその動きが一番強い。


・ヴリンの翼馬

 BG増える→死儀礼増える→Revokerすぐ死ぬ→マナ拘束が効きにくい上にタルモを連打される→3マナ2/1飛行? 何に強いの?

 コンボが減ってBG系が帰ってきた今、コイツに枠を割く理由を見つけられなかったのでストレージを肥やす作業に従事させることになった。



◎サイドボードについて


・REB

 赤いデッキの嗜み。




・Cataclysm

 普通のデスタクなら二枚採用されていることが多いが、枠の都合で一枚に。ここしばらくはすっかり警戒されるようになってきたのもマイナス。


・Gideon, Ally of Zendikar

 戦乱のゼンディカーからやってきた新顔。この枠はエルズペスとの競合になるが、このギデオンの最大の利点は出てくるトークンが2/2であることだ。対BG戦では横に並べながら死儀礼を突破することができ、奇跡相手にもぺス以上の圧力をかけられる。代わりにぺス+ミラクルのイージーウィンが無くなったが、そもそもそんなことをする機会は滅多にないので大した問題ではないだろう。

 現状土地が24枚なので、BG系が流行していることも加味するとナヒリを用意する選択肢もある。しかし奇跡も流行っているのでそうなると単純にトークンのサイズが大きい方が偉い。とはいえ強いことに代わりは無いので、サイドに枠を用意できれば、といったところか。


・Outpost Siege

 アドバンテージの塊みたいなエンチャント。基本的にカンを宣言することになるが、龍のモードのダメージの誘発は「戦場を離れたとき」なので終末で吹き飛んだりしても誘発する。盤面とライフを見て判断したい。




◎現環境におけるデスタクの立ち位置


・リソースの削り合いを得意とするBG系がメタゲームに復帰した。コンボ最大手だったオムニテルがDigの禁止によってメタゲームから転げ落ち、同様に手札を肥やす手段を失ったヤンパイや導師を要する青系デッキも弱体化を余儀なくされた。


・カナスレもメタゲーム上に復帰する兆しがある。BG系は総じて色拘束や序盤の手数に難があるため、カナスレの土地攻めやテンポについていけないことがままある。盤面で負けていても発展の代価という切り札もあるので、恐らくはBG系を喰いモノにして浮上するだろう。BG系に勝ちつつどこまで奇跡に対抗できるかが問題か。


・奇跡は相変わらずメタゲーム上にいるが、マストカウンターを連打してくるデッキが減ったため従来の対クリーチャーを意識した構築に回帰した。探索を使うデッキであったにも関わらず、探索が無くとも問題なく戦えるため相対的に強くなったこともあって母数そのものが増えた。


・再びメタゲームに浮上すると思われていたエルフやスニークショーがどうなるかは不明瞭。ただ、前者は奇跡が増え、後者はハンデスとカウンターを要するBUGが増えたので厳しい環境ではある。



・以上の点からデスタクは明確に意識されていないが、環境そのものが対クリーチャーにシフトしているため厳しい、という結論を出さざるをえない。とはいえミラクルやPWを採用することで十分戦えるので、デスタクを使っている人達には是非頑張って欲しい。





 新しいスタンのデッキどうしようかなぁ……。
Main 60

Lands 23

5 Plains
1 Mountain
4 Wasteland
4 Rishadan Port
3 Platue
4 Arid Mesa
1 Karakas
1 Cavern of Souls


Creatures 25

4 Mother of Rune
4 Stoneforge Mystic
4 Thalia,Guardian of Thraben
1 Ethersworn Canonist
3 Frickerwisp
2 Imperial Recruiter
2 Magus of the Moon
4 Vryn Wingmare


Spells 13

4 Swords to Plowshares
4 AEther Vial
2 Red Elemental Blast
1 Umezawa`s Jitte
1 Sword of Feast and Famine
1 Batterskull



Sideboard

3 Painter’s Servant
3 Grindstone
2 Red Elemental Blast
2 Pyrobrast
2 Enlightened Tutor
1 Rest in Peace
1 Leonin Relic-Warder
1 Goblin Welder




 単なる思いつき。不意をつけることは間違いないし、デスタクらしい動きが相手の妨害を封殺してくれると思えば悪くはない。でもそれ以前にどれを抜いてペインターコンボを投入するんだろうか?

 このサイドボーディングの良い所はネタバレしていなければサイド後に外科的摘出や殺戮遊戯を撃たれないのでサイド後にしては比較的コンボを決めやすい点だ。追加のハンデスやカウンターといった要素も殆どないはずなので、むしろ追加されるであろう除去に対して献身的な世話人のようなカードで抵抗してもいいかもしれない。3ゲーム目があるなら相手 と自分も 迷わせることが出来る。



 でもさすがにペインターコンボのパーツは手元にないし、このままお蔵入りかなぁ……。でも試したいから少しずつパーツを集めたい。徴募兵をさらに買い足すのかと思うと心が折れそうだけど、変則サイドしたいだけだから買い足さなくてもいっか!(現実逃避)

 晴れる屋でやたらマッチングしたので、反省も兼ねた個人的な所感やプレイングについてデスタク視点で書き連ねる。



◎相性

 メイン・サイド共に4.5:5.5くらいでANT有利。基本的に先手1・2キルと後手1キルを防げず、サリア一枚だけなら乗り越えられてしまい、夜の戦慄を始めとするサイドボードが十分に用意できる分ANTが有利、というのが個人的な考えだ。

 しかし、この有利は磐石なものではない。相手のデッキが分からないメイン戦でキャントリップ多めの手札をキープした場合はサリアによって著しく減速するし(逆にデスタクがサリアのいない手札をキープする可能性もあるが)、そもそもサリアを乗り越えられるだけの濃い手札を貯め込むのも簡単ではない。2キルはともかくキャントリップすら撃つ余裕がない1キルの可能性はかなり低いので、後手番のANTはデスタクに対して不利とすら言える。特に最近のデスタクはメインにCanonistを投入する形や追加のサリアこと翼馬が増えているので、ANTにとっては向かい風だろう。もっとも、LEDをガラクタにする破棄者の姿を見なくなったが。

 結局のところ0.5の差は俗に言う「ブン回り」の有無の差とほぼ等しい。特にサイド後はブン回るか対策カードを乗り越えるかが焦点となるので、必然的に対策カードが置かれる前に勝てるANTはそれだけで有利と言える。問題は、その有利そのものが運に左右されるというところなのだが。



◎戦い方

 メイン戦は特に言うことがない。強いて言うなら速やかに決着をつけるために全力で展開する、ということだろうか。ANTの最大の強みは1キルが可能な点でもハンデスで前方確認が出来る点でもなく、大量のキャントリップによって必要なパーツを片っ端から集めることが出来る点だ。ターンの経過と共にANT側の手札は濃くなり、ハンデスとPiFによって二、三枚程度のカウンターを始めとする妨害を軽々と越えていくことができてしまうのがANTである。

 故に速やかな決着は勿論のことだが、そもそもキャントリップを撃たせずにビートする、という手段も有効だ。具体的には薬瓶スタートからリシャポと不毛の大地を駆使して土地を徹底的に縛り上げる、というプランである。はっきりいって下策ではあるのだが、サリアもCanonistも引けない状態ならこの戦略が肯定される。この場合は展開より土地縛りを重視し、相手のトップ条件を厳しくすることが肝要だ。土地やペタルを引かれたりインスタントタイミングでむかつきを撃たれたらそれまで、と割り切るくらいでちょうどいい。長引くと不利なのはむしろこちらだが、キャントリップや教示者が撃てない状態なら条件は大して変わらない。


 サイド後はとにかく2ターン目にヘイトベアを置けるまでマリガンすること。それが出来ないなら手札が七枚でも四枚でも負けることに変わりはない。安らかな眠りは単体ではキープ基準になりえないが、石鍛冶による速やかなビートダウン+土地縛りが可能な場合はキープしてもいい。ただし、PiFや陰謀団の儀式が減量される可能性や突然の衰微の存在を鑑みて過信はしないこと。サリアやCanonistよりは確実に優先度で劣る。

 たまにソープロを残す人を見かけるが、ボブの投入は確実に減速(或いはアド死)を招くのでこちらとしてはむしろありがたいし、若き紅蓮術士は殴打頭蓋でどうにかなる場合が殆どなので必要ない。


 破棄者は当然LED一択だが、真髄の針で刺せないことを忘れてそっちまでサイドインしないこと。


 解呪関係のスペルはフル投入。夜の戦慄の処理は勝敗に直結しうるため。遺物囲いを採っている場合は、二枚以上夜の戦慄が張られているときはダブルシンボルの存在の破棄として扱えることを忘れないこと。虐殺や見栄え損ないはケアしきれない(特に見ていない場合)ので頭の片隅に留める程度でいい。


 また、解呪や薬瓶and遺物囲いor鬼火が揃っている場合は相手がLEDをキャストするタイミングを注視すること。油断してLED着地後に儀式系呪文をキャストしたら見逃さずにLEDを処理しにいくべし。

 薬瓶が二枚以上並んだ場合、夜の戦慄を鬼火で一時的に追放or遺物囲いで処理した後、サリアやCanonistを着地させられる。相手が儀式系呪文で手札の大半を使い切ってから教示者を撃った時に合わせれば再起不能にすることも可能なので、出来るだけ相手が手札を使い切った瞬間を狙いたい。



 ANTとの対戦経験は少ないので他にも「こんなテクニックがあるよ」とか「知られてないけどこういうカードが効きます」みたいな意見は随時募集してます!(他力本願)
Main 60

Lands 23

5 Plains
4 Wasteland
4 Rishadan Port
2 Platue
3 Marsh Flats
2 Windswept Heath
2 Karakas
1 Cavern of Souls


Creatures 26

4 Mother of Rune
4 Stoneforge Mystic
4 Thalia,Guardian of Thraben
3 Phyrexian Revoker
4 Frickerwisp
2 Imperial Recruiter
2 Magus of the Moon
2 Mirran Crusader
1 Vryn Wingmare

Spells 11

4 Swords to Plowshares
4 AEther Vial
1 Umezawa`s Jitte
1 Sword of Fire and Ice
1 Batterskull



 徴募兵を購入したのでとりあえず雛形を完成させた。いつぞやのSCGで結果を残したリストと大きな変更点は無し。

 ヴリンは完全にお試し枠。決して弱いわけではないが、3マナ域のカードが多いので無暗に増やせない。複数枚並べることが出来るというサリアには無い利点を生かすなら、装備品との兼ね合いも考えて土地をもう一枚増やすことも考慮する必要がある。何にせよ一マナ重い、ということは当然手遅れになる機会が増えるので、その辺りは構築次第。



 ついでに今回は帝国の徴募兵のサーチ先の候補を考えてみる。既にデッキに入っているカードや、エーテル宣誓会の法学者、ブレンタンの炉の世話人といった一般的にサイドボードに入りそうなカードは除いて、パッと思いついたカードは以下。


・運命の大立者

 悠長だが最後まで育つととんでもないことになるLvクリーチャーの元祖。序盤の展開から終盤のフィニッシャーまで務めることが出来るが、リシャーダの港を要するデスタクで色拘束の厳しい能力でどこまで成長させられるかは未知数。月の大魔術師がシナジーとも呼べない範囲で援護はしてくれるが、それでいいのだろうか。


・八ツ尾半

 悠長なカード二号。ソープロを使うデッキや同系対決になるとそれなりに活躍してくれるかもしれない。そうでないと勝っている盤面を磐石にするだけのカードになる可能性が高い。


・コーの飛行士

 思考検閲者より軽い飛行持ちとして一応選択肢に入れた。後半にキッカー込みでキャストしてタルモを超えるより、デルバーと相打つためだけに出てくることの方が多そう。


・族樹の精霊、アナフェンザ

 これをサーチした時点で果たして何体クリーチャーが手札にいるのか。このカードの能力を目当てにするならいっそのことイーオスのレインジャーまで採用することも考えられる。要するに中途半端。


・月皇ミケウス

 マナはかかるが膠着した盤面をひっくり返せるだけのインパクトはある。後半にサーチしてくる分には悪くない。


・呪文滑り

 「徴募兵でサーチしてきます→じゃあ出る前に除去します」で仕事が無くなりそうな人。紅蓮地獄のような全体火力で落ちず、稲妻にも耐えきれてサイド後は装備品をアーティファクト破壊から守れる点は評価に値する。


・献身的な世話人

 疑似ルーンの母。召喚酔いによるタイムラグをどこまで許容できるのかが問題。地味にタフネスが2なのでゴルガリの魔除けや一枚目の疫病と夜の戦慄で死ないのが利点。


・ゴブリンの名手

 対同系&エルフ用決戦兵器。それ以上でもそれ以下でもない。


・渋面の溶岩使い

 赤マナを恒久的に確保出来れば複数枚投入も肯定される良カード。特にデスタクはアーティファクトが墓地に落ちて相手のゴイフが大きくなるので、メインからそれを抑えることが出来るのは魅力的。石鍛冶、デルバー、死儀礼を恒久的に牽制出来るのもポイント。安らかな眠りとの兼ね合いが最大の問題か。


・大歓楽の幻霊

 赤のダブルシンボルが厳しいが、薬瓶さえ機能していれば一方的なダメージ源になれる。とはいえ活躍する機会が限られている上、コンボ以外の相手にそれを見極めるのが難しい。積極的な採用は躊躇われる。


・ピア・ナラーとキラン・ナラー

 オリジンからやってきた新顔。単体で4点クロックを展開する上に余った薬瓶を2点火力に変換してくれる。起動型能力は若干重いが、「分からん殺し」な面も含めてちょっと使ってみたくなる。



 大体こんなところ。今更ながらこれ全部試すのかと思うと凹んだ。
 先日のSCGでTOP8に残った赤いデスタクについて。リストは以下。

http://sales.starcitygames.com//deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=87177


 目に付く部分が幾つもあるので個別に書き連ねていく。


・秘教の十字軍

 まずこんなカードの存在を初めて知った。パッと見ヴェクの聖騎士でいいんじゃないかと思ったが、スレッショルドを達成すると飛行を得られるのは偉い。プロテクションのおかげで衰微や稲妻で除去されないのはセラの報復者にはない利点であり、罰する火への耐性の高さも特筆すべき点である。すっかり流行している探査生物が軒並み黒いことから劣勢でも無敵のブロッカーとして立ち回れるので、攻防に活躍できる。

 とはいえスレッショルドを達成しなければヴェクの聖騎士の下位互換で、3マナという重さもあってか複数枚の採用は厳しい部分がある。その点を帝国の徴募兵が解消しているのがデッキ構築の妙なのだろう。



・殴打頭蓋

 メインには採用されず、サイドに甘んじているが正直理由を考えてもこれといって思いつくものがない。というか、ちらつき鬼火に最大限枠を割いているから投入は是とされるものだとばかり思っていた。

 リストを見る限りだと秘儀の十字軍かレオニンの遺物囲いの枠を捻出するため、というのが理由だと思われる。しかし前者はともかく後者はわざわざメインに採用するほどのものなのかと首を傾げざるをえない。


・レオニンの遺物囲い

 サイドはともかくメインからも採用されている。触れる範囲が広いことから相手の計算を狂わせるシルバーバレット要員としては悪くないが、いかんせん殴打頭蓋をサイドに退けてまでするべきことなのかと言われると自信がない。TOP8に奇跡が三人もいたので間違いではなかったのだが、メイン戦でどれだけ帝国の徴募兵からサーチすることがあったのか甚だ疑問である。コロンドールのマンガラではダメだったんだろうか。



・外科的摘出

 デスタクではあまり見かけない墓地対策カード。このカードが基本的に優先されない理由は二つ。一つは対策出来る範囲の広い安らかな眠りや墓堀りの檻といった対策カードの存在。基本的にこの二種類があれば事足りることが殆どである。

 二つ目の理由は、デスタクが能動的に外科的摘出を扱いにくい点だ。ハンデスやカウンターを絡めてコンボパーツを纏めて引っこ抜く、という使い方が出来ないのでどうしても他の墓地対策に比べて見劣りしてしまう場面が多い。不毛の大地で特殊地形を破壊してマナトラブルを狙う、などという使い方もあるが、それでは月の大魔術師を使う意味がない。


 一方、デスタクでこのカードを採用する主な要因は、環境に存在するリアニメイトと罰する火である。どちらも往々にして対策カードを乗り越えるための置物破壊を採用しているデッキで、どちらもデスタクにとっては有利と言い難い相手だ。特に前者はワンキルや先手2キルもあるので、フルタップでも飛んでくるケアしにくい対策カードとして外科的摘出の有用性は高い。

 今回のTOP16にはドレッジと土地単がおり、特にドレッジに関してはシンプルで速さに重点を置いた構成ではなかったことや直近のSCGの結果から、墓地対策が薄いメタゲームだった可能性がある。そういう意味では、墓地対策を厚く広く採用すべきだった大会と言える。

 それともう一つ。今回のSCGは奇跡は勝ちきれなかったものの多数派ではあったので、ソープロや終末を処理できるという点を鑑みると外科的摘出は有用だったかもしれない。


・悟りの教示者

 今回のリストではシルバーバレットというより、サイドカードの水増しに重点が置かれている。その理由は言うまでも無く、唐突なる死に枠を大きく削られてしまっているからだ。同じカードを積んだらマッチングが下手くそで裏目が出ました、なんてことにならないためには必要な措置である。





 今回のSCGはデスタクにとって有利なデルバー系と不利な青白奇跡が半々ずつという、一周回ってシンプルなメタゲームだった。最近のデスタクはコンスタントに入賞しているのでメタ的にあまり良い立ち位置とは言い切れないが、今回の赤デスタクはいい意味で予想を裏切る存在だっただろう。決勝こそしっかりとデスタクやエルフを意識した構築のBUGデルバーに敗れたものの、赤いデスタクのポテンシャルを証明した形になった。今後のさらなる研究に期待したい。





以上。やっぱり徴募兵を買おう。(言うだけならタダ)
 モダンに夢中になっている内にSCGのInvitationalでデスタクが優勝していたので、今更ながら思ったことを適当に短く纏めてみる。

リストはこちら
http://sales.starcitygames.com//deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=86009



 土地が22枚で三枚目のKarakasが永岩城に置き換わっているのが先ず目に付く。マンガラとブリマーズを採用した上でKarakasが二枚というのは少々心もとない気もするが、恐らく突然の衰微より火力をケアした方が環境に合っているという判断だろう。グリクシスが増えている現状ならではの構築だと言える。そして23枚目の土地は二枚目の迷宮の霊魂のためのスロットと見るのが自然だ。

 今回のTOP8は三種のコンボに二種のデルバー、奇跡、マーベリック、デスタクと中々バラエティに富んだ面々だった。そんな中でデスタクが優勝した最大の理由はサイドボードにあると思われる。

 二種類の墓地対策に漸増爆弾、法学者、忘却の輪と一枚ずつ散らして悟りの教示者によるサーチを肝としたサイドボードは、個人の好みは別としてお手本のように綺麗であることは認めざるを得ない。特に今回はコンボがしっかり勝ち残っているような環境では、サイドボードを確実に引っ張ってこれることには十二分の価値がある。

 また、二枚の太陽の槍はデルバーと死儀礼を明確に意識した結果であると同時に、序盤のマナスクリューや相手の不毛の大地も考慮したのだろう。軽い除去はテンポで盤面を巻き返しやすく、序盤の数ターンを凌ぐには十分だ。赤いデッキとコンボが多い環境だと仮定したなら、タルモゴイフをほぼ確実に除去できないことも大したデメリットにならない。結果から見て、見事に環境を読み切ったと言える。




 以上。この構築はデスタクがエルフに勝つための最適解なんじゃなかろうか。
 ちょくちょく見かけることがあるサイドボードの悟りの教示者について。


 悟りの教示者の利点は、1マナかつインスタントという軽さで状況に応じたエンチャントかアーティファクトをサーチできることだ。安らかな眠りやエーテル宣誓会の法学者といったサイドボードカードは勿論、装備品をサーチすることで石鍛冶の神秘家の水増しにもなる。ハンデスに対応してキャストすることで、クリティカルなサイドカードをより安全に着地させることも可能だ。白が優秀なエンチャントを有する色であるため、例え単色でもサーチするカードに困らない事も含めて優秀なカードではある。

 しかし、デスタクにおける採用率はそれほど高くはない。ざっと検索してみても悟りの教示者を採用しているリストは大目に見積もって40%弱。極端なマイノリティではないが、多いわけでも無い。とはいえ、ある程度纏まった数がいる事実は興味深い。一定数存在するのなら、それは単なる好みの問題に留まらず、デスタクの一種の発展形ないし新たなテンプレートとして定着する可能性がある。

 今回は教示者の有無による利点と欠点を挙げ、現状の分析を行うことで教示者の可能性を探る。


※参考として、それぞれ(出来る限り)直近のSCGで入賞したデッキリストを例示する。


教示者採用型
http://sales.starcitygames.com//deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=84362



非採用型
http://sales.starcitygames.com//deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=84102



◎採用する利点

 一番大きい利点は、予想されるメタゲームを鑑みて限定的過ぎるが必要と思われるカードを投入しやすいということだ。例えば絶対の法のような必要だが重ね引きやスロットの圧迫を許容しかねるカードは、教示者があると一枚でもそこそこの確率でキャストする機会に恵まれる。因みに他の例として漸増爆弾や真髄の針のようなカードがある。

 また、「タルモゴイフを使ったデッキが多いけど、オムニテルやANTも一定数いる」なんて時に、教示者は墓地対策、忘却の輪、エーテル宣誓会の法学者といった面々の追加として見ることが出来る。特定のデッキを意識したらマッチングが下手くそで憤死したり、メタゲームを読み間違えてサイドボードが腐ったりといった裏目をある程度防ぐことができるのは大きい。


◎教示者の欠点

 これについて、自分は次の二つが主な欠点だと考えている。

・ハンド及びテンポアドバンテージを損なう

 これについては言うまでもないだろう。教示者がデッキトップに好きなカードを積み込む以上、その場ではハンドを一枚失っただけに過ぎない。しかもドローまでのタイムラグがあり、後半のトップ勝負ではその1ターンの差が致命的な瞬間も存在する。しかも積み込んだカードをカウンターされるなり破壊されるなりすると実質的な2対1交換になってしまう。アドバンテージを稼ぐ手段が石鍛冶の神秘家くらいしかないデスタクでは、結局ジリ貧になってしまう。


・シルバーバレットの脆さ

 ピンとくる人は少ないかもしれないが、まずは例示している教示者採用型のリストのサイドボードを確認してほしい。少し珍しい構築なのはともかくとして、安らかな眠りが一枚の採用に留まっているところに注目してもらいたい。

 安らかな眠りが殆どのデスタクで(時には大祖始の遺産を含めて)二枚以上投入されているのは、なにも必要なカードだからというだけではない。それはあくまでキープに至る基準や対戦相手のサイドボードを考慮していない二次元的な考えであり、実戦では「相手ははこちらのサイドカードをどのように攻略してくるのか」という立体的な思考が必要になってくる。タルモゴイフを使っているデッキは突然の衰微やゴルガリの魔除けを差し向けてくるだろうし、ANTも蒸気の連鎖やハンデスで妨害してくる。教示者で意気揚々とサーチしてきたから、実質的に2対1交換だ。さて、そこから巻き返すための術と時間はどれだけ残っているだろうか?

 シルバーバレットの脆さとは、あらゆる相手を想定して様々なカードを用意できるようにした結果、それを対処されてしまうと二の矢が放てなくなるという構造上の弱みだ。安らかな眠りと墓堀りの檻は同じ墓地対策カードではあるが、だからといって同じ役割をこなせるわけではないのだ。突然の衰微という万能除去が蔓延する昨今の環境で、これは致命的である。多様性が内包する脆さをどこまで許容できるか、そのリスク管理は非常に難しい。


※因みに件のリストはその脆さを多様性で補っている好例である。タルモゴイフに対峙した際、二枚の議会の採決はゴイフ以外にも打ちどころがあって腐りにくく、見えざる者の熟達は時間稼ぎとしてこれ以上ない働きを見せてくれるだろう。メインとサイドにエーテル宣誓会の法学者が散らされていたり、沈黙が採用されているところからも調整の跡が見て取れる。出来る事なら使用した感想や具体的なサイドプランをご教授願いたいものだ。というか、使ってみたくはなるが使いこなせる自信がない。



◎まとめ

・教示者は手放しに投入が肯定されるカードではない。構築・プレイング両面に確かな技術と経験が求められる。

・メタゲームを絞りきれないなら教示者は便利。その代わり、相手が用意する「対策カードへの解答」に対して脆さを露呈しやすい。

・教示者の採用が一般的になる可能性は三つ。一つはネクロの夏やMoMaの冬のような極端すぎるメタゲームによって、トップメタへの対策とアンチトップメタへの対策という二極化した環境がサーチカードによる対策カードの水増しを是とした場合。二つ目は逆にメタゲームが混沌とし過ぎたために多様性が重視される場合。三つ目は教示者の欠点を補って余りある、或いは補完するようなカードが今後刷られた場合。




以上。おたくの教示者は本物ですか?  どうでもいいけど好きなディックの作品は「最後から二番目の真実」です。
 いつぞやのGPTでゴブリンの熟練扇動者とRed Elemental Blastのために赤をタッチしたデスタクがいたことを思い出したので。というか、前回稲妻について述べたくせにREBのことを忘れていた。


・ラブルマスターについて。

 最初にハッキリ言うが、このカードは少なくともデスタクにおいていわゆる「タダ強」カードではない。あくまで限定的な場面でしか仕事が出来ない、むしろその仕事の範囲が月の大魔術師より狭い微妙なカードだ。

 その原因はこのカードの欠点、すなわち除去耐性も突破力もないという部分に起因する。タフネス2、プロテクションはなく、飛行やトランプルもない。環境に蔓延するあらゆる除去で屠られ、タルモゴイフや殴打頭蓋を前にあっさり足踏みしてしまう。後者の場合は尚悪いことに、トークンに強制アタックが付与されるせいで相手のライフが勝手に増えていく。どうしろと。

 では何故このカードは強いとされているのか。それは、デッキ構築、或いはコンセプトがその強さを肯定するからだ。スタンダードではともすればトークンの一点クロックすら受けたくないという状況に追いこめる赤単が、レガシーには大量の除去とハンデスでリソースを根絶やしにするジャンドがいる。特に自分はジャンドにおけるこのカードを高く評価しており、コラガンの命令というアンチ石鍛冶を得た今、このデッキが環境最強のフェアデッキなのではないかと思っている。問題は、「フェアデッキに強いフェアデッキ」であって「コンボデッキに強いフェアデッキ」と言えないところなのだが。

 勿論、デスタクでもサリアや月の大魔術師、不毛の大地で縛りあげたところでこのカードを叩きつければリカバリーの暇もなく速やかにゲームを終わらせてくれる。しかし、逆説的にそういう場面でなければ弱い 。除去が、タルモゴイフが、僧院の導師が、立ちふさがったその時、このゴブリンの強さは簡単に否定されるのだ。デスタクは、それらをあっさり封じ込めてしまえる強烈な速さやロックする術を持ち合わせていない。 そうだ、ドラゴンストンピィで使おう(小並感

 よって、デスタクにこのカードは必要ない。嘘だけど。

 要するに、デスタクがこのカードのパワーを最大限に引き出せばいいのだ。そして、そのために必要なのは除去を増やそうとかそういう構築段階の話ではない。使う相手を選ぶ、ただそれだけいい。

 コンボと奇跡。デスタクがこのカードを上手く使える相手は、結局のところこの二つに絞られる。

 コンボを相手にする際にデスタクの一番多い負け方は、実の所ヘイトベアを始めとする対策カードを引けずに即死……ではない。特にANTやオムニテルを相手にしている際に顕著なのが、対策カードが着地はしたもののクロックの低さが災いして対策カードを処理するための時間を与えてしまうパターンだ。下手にクロックを上げるためにヘイトベアを漠然と並べると全体火力で一掃され、それを恐れてクリーチャーを並べないでいると濃密な手札から強引に突破される。この辺りの加減は本当に難しく、また、最善手を打っても結局実らないことも少なくない。

 しかし、ヘイトベア→ラブルマスターという動きはそういった問題を一気に解決する。単純計算でこの動きはほぼ3ターンクロックで、それ以上クリーチャーを展開する必要はないから全体除去の警戒やリシャーダの港のためにマナを残すことができる。テンポの悪い装備品よりよっぽど簡単で、裏目も少ない。

 対奇跡においても、単体で終末を使わせるだけのインパクトがあり、トークンが速攻を持つためジェイスにも強い。ソープロや瞬唱に弱いという欠点はあるにしても、有効なカードであることに代わりは無い。

 以上の点から、自分はゴブリンの熟練扇動者をメタ次第で採用に足るアンチカードとして評価したい。対コンボ及び奇跡が多いなら、ヘイトベアと一緒に使うだけの価値はある。逆にクリーチャー戦を得意とするフェアデッキが多いなら、大人しく他のカードを採用する方が無難である。



・REBや紅蓮破について

 SCGのリストでは不採用だった。リストを見る限り、その最大の理由は「枠が無い」ことだと思われる。特に帝国の徴募兵によるヘイトベアのサーチをギミックとして仕込んでいるため、サイドボードにも追加のヘイトベアが計六枚投入されている。さらに唐突なる死という一部のデッキにクリティカルなカードや安らかな眠りといった実質的な固定枠を含めると空きはないと言っていい。サーチ出来ず、サリアで重くなり、例えサイドインするデッキを相手にしても腐る場面が少なくないインスタントのために割く枠がないのだろう。

 環境を見渡す限り、REBまたは紅蓮破で対象に取る機会が多いカードはデルバー、神ジェイス、時を超えた探索、実物提示教育の四つ。デルバーを意識するなら流刑への道や稲妻があり、神ジェイスは破棄者で止められるのでわざわざREBを採用する理由にはなりえない。よって、焦点は後者の二つに絞られる。

 しかし、カウンターするためには事前にマナを立たせておきながら尚且つ手札に握っている必要がある。キャントリップも無く、後引きも出来る事ならしたくないとなるとさすがに我が儘だ。つまるところ、このデッキには合わない、ということになる。

 これだけ見るとジャンドにおいても同じことが言えるようにみえるが、ジャンドではREBないし紅蓮破がサイドに数枚用意されていることが少なくない。その理由は、これらがジャンドの「リソースを根絶やしにする」プランの助けになるからだ。ハンデスを通す助けとしてREBは軽いこともあって優秀で、ハンデスに合わせた渦まく知識やカウンターを弾く能動的な使い方や、主な妨害がハンデスであるが故に起こる「トップから有効牌を引かれて負ける」パターンもケアすることも出来る。後引きをある程度許容できるのも大きい。特に最近はデッキトップから時を超えた探索であっという間にコンボパーツを掻き集められてしまうため、それを妨害するためにも必要になってくる。


 まぁそれでも、「自分以外青しかいねぇ!」なんていうのなら採用するべきだとは思う。SCGのような規模の大きい大会では、裏目に出ることの方が多そうだが。




以上。次はモダンかEDHのことになる予定。

 前回問題にしたテンポの悪さをどうやって改善するのか、主にカードの取捨選択の観点から書き連ねる。

◎マナ加速による手数の確保
 はじめにことわっておくが、煮えたぎる歌のような儀式系スペルについては論じない。例え色が増えてもリシャーダの港がある以上、デスタクに必要なのは恒久的に使えるマナである。そこまでしたいなら素直にドラゴンストンピィを使って気持ちよくなりましょう。

 よって、この解決方法は金属モックスやモックス・ダイアモンドを採用すべきか否かという一点について語ることになる。ただし、それぞれの細かい違いが生むメリットとデメリットに関しては考察しない。ここに関しては実践の伴わない思考実験ではなく、ひたすら実戦を積み重ねることが最善だと考えているからだ。今回はあくまで二つのモックスに共通する点をメリット・デメリットとして考察を行う。

 結論から言うと、自分はモックスは採用するべきではないと考えている。何故ならメリットがデメリットを上回っていると思わないからだ。具体的な理由を述べるために、まずはメリットとデメリットを簡潔に記す。

 モックスを採用する明確な利点は一手速い動きである。一ターン目にサリアが着地したり目くらましをケアしやすくなり、三マナ域にアクセスしやすくなるのはやはり重要だ。若干ながら色事故の緩和にも貢献し、大変動やアルマゲドンといったリセット呪文と相性が良い。

 一方、モックスを採用するデメリットは大きく分けて二つある。
 一つ目はモックスが抱える安定感の無さだ。序盤の展開をスムーズにする。一見素晴らしいモノに思えるが、勿論リスクがある。それが安定感の無さ、具体的に言語化すると「後引きの弱さ」と「ハンドアドバンテージを失う」の二点だ。どちらも語るまでも無く、このモックスという一見素晴らしいものに見えるカードが一部のコンボデッキやストンピィといったデッキにしか採用されていない最大の理由である。残念なことにこのデッキには「叩きつければ勝てる」ようなパワーカードはなく、失ったアドバンテージを取り戻す術や安定性を向上させるためのキャントリップもない。

 二つ目は、このカードに割くスロットの問題だ。何枚採用するのが一番リターンが大きいのか、という方が正確かもしれない。

 要するに、単なるマナ加速を投入するからデッキパワーは下がる。それをどこまで許容できるのか。食べ放題のバイキングで損益分岐点について考えてしまうようなものだ。しかし、安易に三マナ域を削るという結論を出してはいけない。三マナ域が多くてテンポが悪いのをマナ加速で補おうとしているのだから当然である。下手に三マナ域を減らしたらそもそもマナ加速をする意義が薄れてしまう。

 しかし、土地を削ると「土地は置けないけどモックスは置ける」だけになりかねず、相手がサイド後に無のロッドを置こうものなら一気に苦しくなる。ヘイトベアを減らすとそもそも相手がデッキパワーを十全に発揮しやすくなり、デッキの名折れだ。さりとて石鍛冶パッケージを抜くことも難しい。そもそも一枚や二枚入れ替えた程度で、一体それがどれだけのゲームで役に立つのかも不明瞭だ。ともすれば、長期戦になった際の不要なドローをする機会が一番多かったなんてことにもなりかねない。

 以上の点から、自分はマナ加速という手法で問題を解決することは極めて難しいと結論づけた。


◎2マナ以下のスペルを採用する

 というわけで、結局のところ自分が一番有力だと考えているのが大人しく3マナ域をシェイプアップして動きやすくすることだ。以下は空いた枠に入る可能性が高いと思われるカード三種について。


・渋面の溶岩使い

 いきなりで申し訳ないような気がするが個人的には大本命。能力とその有用性について語るのは釈迦に説法なので割愛する。なのでここではもっと細かな点について述べる。

 このちっぽけなショック使いは、言うまでも無く不毛の大地やフェッチランド、タルモゴイフの前に散っていく小柄な白い人間達の骸すら糧として戦場で誰かを焼き続ける。本人がまず除去られるだろ、とか無粋なことを言ってはいけない。このカードはデスタクが負ける主な理由の一つである「後手に回って押し切られる」パターンに対抗できる偉大な存在なのだ。徴募兵でサーチした後に出しやすいのも偉い。

 それともう一つ、このカードを押す理由がある。コイツのクリーチャータイプが人間であるということだ。勿論気づいている人はいるだろうが、帝国の徴募兵も月の大魔術師も人間である。魂の洞窟の恩恵を最大限に受けられる上に、ささやかとはいえマナベースの構築の助けにはなる。能力を起動するための赤マナがない?  魂の洞窟とかいう無色土地を入れてるのが悪い。そうだろ?

・大歓楽の幻霊

 あらゆるフォーマットで大人気の生きる紅蓮光電の柱。 ニクスへの旅とかいう外れが詰まったパックの数少ないアタリ

 ルーンの母やサリアとこいつが並べば大抵のデッキは悶絶してくれること間違いなし。赤いヘイトベアといっても過言ではない。徴募兵でサー(以下略

 問題は五分以下の盤面ではむしろこっちの足を引っ張ることと、赤のダブルシンボルという色拘束のキツさ。それでも僧院の導師が幅を利かせている現在の環境なら一考の価値がある。殺意の高いマゾヒスト向けなカード。

・稲妻

 歴代最高の火力。ソープロと枠を分け合うことになるので、恐らくは二枚ないし三枚程度の採用が精いっぱいだと思われる。追加の除去にも最後の一押しにも使えるが、サリアがいるとエイヴンの思考検閲者と同じくらい構えているのがバレバレな気がしてならない。むしろ太陽の槍の代わりにサイドボードへ投入するのが一番丸いかも。

 アンコモン昇格おめでとう。大好きなフレイバーテキストでの再録だから四枚集めるよ。 使わないけど

 さすがにカードの知識が足りないので、コンセプトには合ってるけどみんな知らない、なんてカードは思いつきもしなかった。

 個人的にはやはり渋面の溶岩使いを強く推したい。問題は、自分が帝国の徴募兵どころか月の大魔術師ですら必要な枚数を持っていないから実戦して確かめることが出来ないということだ。



 最後に、三分で妄想 構築した我流の赤デスタクのリストを恥と一緒に 晒しておく。



W/U&Tax

Main 60


Lands 23

Plains 5
Mountain 1
Plateau 2

Arid Mesa 4
Windswept Heath 1

Wasteland 4
Rishadan Port 4

Cavern of Souls 2
Karakas 2

Creature 26

Mother of Rune 4
Grim Lavamancer 3
Thalia,Guardian of Thraben 4
Stoneforge Mystic 4
Serra Avenger 1
Phyrexian Revoker 3
Imperial Recruiter 2
Magus of the Moon 2
Flickerwisp 3

Artifact 7

AEther Vial 4
Umezawa`s Jitte 1
Sword of Fire and Ice 1
Batterskull 1

Instant 4

Swords to Plowshares 4



以上。マジックオリジンで帝国の徴募兵再録されないかなぁ……。
5/3に行われたstarcityの大会でTOP16に入賞しているのを発見したのでちょっと思ったことを書き連ねてみる。リストはリンク参照。

http://sales.starcitygames.com//deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=84360

 starcitygamesの看板ライターであるGerry Thompson氏も紹介していた赤いデスタク。恐らく今回入賞リストはこちらを参考にしたものかと思われる。
http://www.starcitygames.com/article/30594_Daily-Digest--Death-And-Taxes-And-Magi.html

 デスタクに赤を足す最大の理由は月の大魔術師という特殊地形殺しのクリーチャーだ。自分の不毛の大地やリシャーダの港もただの山になってしまうものの、デュアルランド満載の多色デッキを完全に封殺し、デスタクが苦手とする12Postとの相性も改善してくれる。また、デスタクの主な負け筋の一つである引きムラを帝国の徴募兵というサーチカードが改善してくれる点も見逃せない。このカードは状況に応じてサリアを始めとするヘイトベアからミラディンの十字軍といったクロックまで用意してくれる。ちらつき鬼火との相性の良さは言うまでもない。
 サイドボードに目を移すと唐突なる死というあまり見かけないカードがあるが、記事中でも述べられているようにこのカードはエルフとの相性を改善することが出来る。holy Lightや大変動といった微妙に使い勝手が悪いカードより、一方的に被害を押し付けることが出来る上に軽いこちらの方が万倍強い。もっとも、最近はオムニテルと奇跡が増えたせいで数を減らしたので、今はどちらかというと僧院の導師や若き紅蓮術士を無理やり除去することが多そうだ。

 乱暴に纏めてしまえば、この赤いデスタクは通常のDeath&Taxが抱えていた問題に対して「よりクリティカルなカードの投入によるサイドボードを含めた地力の上昇」、「サーチカードによる引きムラの緩和」、という二つの解答によって解決を試みているデッキだ。その二つは多色化による幾つかのリスクを許容するに足るのかと問われれば、答えはYESである。それだけのパワーがあるからこそ色を追加するわけであって、当然と言えば当然だが。

 しかし、このデッキは一つだけ致命的な問題を抱えていると自分は考えている。それは、3マナ域に寄り過ぎたマナカーブだ。
 通常のDeath&Taxにおけるスペルのマナカーブは12枚の1マナ域、20枚弱の2マナ域、6~8枚程度の3マナ域(と殴打頭蓋)で構成されている。これはレガシー環境の早さと2マナ域のヘイトベアの優秀さによるところが大きいのだが、リストを見れば分かる通りこの赤いデスタクの3マナ域は10枚。薬瓶から出せるクリーチャーばかりとはいえ、この重さを許容するのは難しい。なにせ環境最遅のコントロールデッキである奇跡ですら3マナ以上のスペルは15枚程度がせいぜいで、しかもそのうちの約10枚がForce of Will、終末、時を超えた探索という「実質的に2マナ以下」のスペルである。基本的に対戦相手のスペルによる一方的な減速を許してしまうデッキにとって、この事実は文字通り重い。
 こちらにも薬瓶というテンポを補うカードはあるが、このカードがテンポを補う形で動き出すのはキャストから2ターンないし3ターン待たなくてはならない。しかも対処されたら最後、「どうぞ目くらましして下さい」と言わんばかりに3マナ域のクリーチャーをキャストすることを強いられる。リシャーダの港をただの無色土地にするか、手札の3マナ域のカードを抱えたままにするかという二択を選ぶ時間が長くなるのも痛い。リシャーダの港の起動とクリーチャーの展開を同時に行うために4枚の土地を並べることは決して難しくないが、自ら不毛の大地を起動することやクリーチャーを追加することを考えると5枚目の土地というのは少々厳しい。多色化したことで相手の不毛の大地やもみ消しの価値が相対的に上昇していることを考えると尚更だ。マリガンの問題もある。
 
 今回はとりあえずこの辺りで考察という名の雑記を終わりにする。このデッキがローグというくくりから逃れ、メタゲームの片隅に居場所を見つけるためには何らかのブレイクスルーが必要だろう。それは今後現れるまだ見ぬカードかもしれないし、かつて印刷されたカードかもしれないし、構築面の改良かもしれない。どうせ大して書くことも無いので 、次はその辺りのことについて書き連ねることにする。

 以上。帝国の徴募兵が高すぎて自分じゃ組めないんだよなぁ……

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